#10 Ron Herman×ebure: The Next Chapter
Posted on : September.15.2026
エブールとロンハーマン
これからの10年、そして、次の歩みへ
2026年、エブールはブランド誕生から10年という節目を迎えました。その歩みをずっと見つめ、支えてきた存在の一つがロンハーマンです。この秋冬に展開する初のカプセルコレクションの登場を前に、エブール デザインディレクター兼チーフデザイナー古屋ユキが、ロンハーマン ウィメンズバイヤー篠崎茜さんを迎えて対談。これまでを振り返りながら、今回のコレクションに込めた想い、そして、次の10年について語り合いました。
古屋:〈ebure〉は本当にゼロから始まったブランドでした。小さな部屋に数人だけが集まってスタートして、店舗もまだない。最初は〈Ron Herman〉に商品を置いていただくところから始まったんです。この10年でお店も増え、お客さまも増えました。ブランドがこれからというときにパンデミックを経験したり、本当にいろいろなことがありましたが、振り返るとあっという間でしたね。
篠崎:私が最初に〈ebure〉を知ったのは、まだブランド名も決まっていなかったころです。「さらに人生を楽しむという気持ちを掻き立てる服」というコンセプトを聞いて、「どんなブランドなんだろう」とすごく楽しみでした。〈ebure〉のデザインルームへ行くと、ラック一本にコートが10型だけ並んでいて。全部に袖を通したことを覚えています。
古屋:その時から見てくださっていたんですよね。
篠崎:はい。最初に感じたのは、〈Ron Herman〉とは服の成り立ちが全然違うということでした。〈Ron Herman〉は、カリフォルニアの空気感やカルチャーを背景にオリジナルをつくっています。一方で〈ebure〉は、デザイン・パターン・生産など各分野のプロフェッショナルが集まって、緻密に服をつくっている。そこがとても刺激的でした。
古屋:私はもともと〈Ron Herman〉のお客さんでもあったので、感度のいい人たちがつくる、感度のいいお店という印象をずっと持っていました。足を運ぶだけでワクワクするし、心地いい空気が流れている。〈Ron Herman〉はそういう存在でしたね。
篠崎:私から見ると、〈ebure〉はひと言で言えば「緻密さ」なんです。素材や仕立てはもちろん、気づかないような細部まで考え抜かれている。一方で〈Ron Herman〉は「抜け感」を大切にしている。性質は違うけれど、だからこそ響き合うものがあるんじゃないかなと思っています。
古屋:〈ebure〉は、「大人のための上質な服」「エレガントな服」と言っていただくことが多いです。でも、ただ上品でコンサバティブな服をつくりたいわけではありません。ブランドのはじまりから、「さらに人生を楽しむという気持ちを掻き立てる服」ということを大切にしてきました。リラックスできて上質な日常を楽しめる大人の服。〈Ron Herman〉との関係性が、そういう〈ebure〉の一面を自然に引き出してくれている気がします。
篠崎:古屋さんご自身が本当にファッションが好きで、その感覚は私たちと一緒だといつも感じています。
古屋:そうですね。ファッションも服づくりもずっと好きです。だからこそ、素敵な素材で長く着られる服をつくりたいという気持ちは変わらないですね。
篠崎:〈ebure〉のものづくりに対する信頼はすごく大きいです。この10年でお互いに規模は大きくなりました。でも変わらないのは、〈Ron Herman〉の抜け感と〈ebure〉の緻密さをかけ合わせたら、どう面白くなるだろうと考え続けていることです。
古屋:そこは本当に変わらないですね。〈Ron Herman〉の別注は、私たちもワクワクします。
篠崎:〈ebure〉のインラインにはない色に挑戦させてもらうこともありますし、スタイリングや見せ方も違います。同じ服でも、〈Ron Herman〉に並ぶとまた違う表情に見える。それが面白いんです。
古屋:お客さまも、その中から「こうありたい自分」を宝探しのように見つけられるんじゃないかなと思います。「エブールをロンハーマンで何度も買ったことがある」という方もいて、そういう交流が生まれているのもうれしいですね。
Ron Herman×ebure 10th Anniversary Collection。1枚でレイヤードスタイルが叶うカフス付き・衿付きのニットなど、「ワードローブ」をテーマにしたラインナップを展開。Ron Hermanから贈られた「Still in Bloom,Thank to you.Happy 10th Anniversary」のネームにも注目。
篠崎:今回、10周年を迎えると聞いた時も、最初は「えっ、もう10年!?」という感じでした。そこから「せっかくなら何か一緒にやりたいですね」という話になって、「どうせやるなら、しっかりと一つのコレクションとして見せたい」と。
古屋:私は最初、いつものコラボレーションのように、カットソーなど何か一つでもできれば、ぐらいの気持ちだったんです。でも〈Ron Herman〉から、ラックでまとまりのあるコーディネートとして見せたい、というアイデアをいただいて。それがすごくうれしくて、ワクワクしました。
篠崎:そこから「一人の女性のワードローブ」というイメージが広がっていきました。〈ebure〉といえばコートだからコートはマスト。ジャケットを軸に、ニットやデニム、カットソーも合わせて、このラックの中で自由にスタイリングを楽しめる。一人の女性のクローゼットをイメージしました。
古屋:自分の家のクローゼットがそのままこれだったら楽しいよね、という感覚でした。デニムとジャケットを合わせてもいいし、ニットとデニム、その上にコートを重ねてもいい。どれを手に取って、どう組み合わせても成立するようなワードローブにしたかったんです。
篠崎:古屋さんの言葉で印象的なのは「真逆のものを〈ebure〉の中で表現してきた」ということ。たとえばメンズライクなジャケットに柔らかな素材を使ったり、マニッシュなものに女性らしさを加えたり。そういう相反するものの組み合わせも、今回のコレクションのヒントになりました。
古屋:10周年を記念した今回のカプセルコレクションは、本当にゼロから一緒につくりました。いつもは完成したサンプルを見ていただくことが多いのですが、今回はさまざまな素材のスワッチを机いっぱいに並べて、「これ、すごくいいね」「楽しくなりそう」と盛り上がって。
篠崎:私たちも、あの時間はすごく楽しかったです。素材の段階から一緒に考えるというのは、普段あまりないことなので、とても特別な経験でした。
古屋:サンプルができるずっと前なのに、つくりたい世界がもう見えていたんですよね。日々デザインをしていると、数字やスケジュールに追われることもあります。でもあの時は、「服をつくるって、こういう楽しい気持ちだったな」と改めて思いました。
篠崎:根底にあるものは同じなんだと思います。アプローチは違っても、自分たちはもちろん、お客さまにもどうしたらワクワクしていただけるかを考えている。
10年間という節目を迎えたebureと、大切な関係を築いてきたRon Herman。次の章へ進むべく、新しい10年に向けて歩みを続ける。
古屋:これからも〈Ron Herman〉には、私たちに刺激を与えてくれる存在でいてほしいです。皆さんの着こなしだったり、海外で感じてきた空気だったり、日々接するだけでも刺激になりますから。
篠崎:私たちも同じです。お互いに刺激し合える関係であり続けたい。10年後には両方のブランドに新しいメンバーも増えていると思います。でも、それぞれが大切にしていることはきっと引き継がれている。その先でまたどんなものが生まれるのか、楽しみです。
古屋:10周年のテーマは「GIFT」です。10年続いてきたということ、そこには〈ebure〉を愛してくださるお客さまの存在が欠かせません。これまで支えてくださった皆さまへの感謝はもちろん、これから初めて〈ebure〉に出会う方にも、ブランドを通してファッションの楽しさをもっと伝えていきたいと思っています。
篠崎:今回、素材を並べながら一緒につくっていた時の、あのワクワクした感覚がお客さまにも伝わったらうれしいです。私自身、初めて買った〈ebure〉のコートを今でも着ています。今回のコレクションも、手に取ってくださった方のワードローブに長く残り、これから先のいろいろな時間を一緒に過ごしてもらえたらうれしいですね。
古屋:そして、このコラボレーションは次のシーズンへと続きます。10周年を一つの節目にしながら、〈ebure〉と〈Ron Herman〉でまた新しい提案をしていけたらと思っています。
Latest Issue
Journal Index