#3 BOTANICAL DYE

Posted on : March.07.2024

「とても、素敵な色ですね」。ebureの服を手にしたお客様から、うれしい感想をいただくことがあります。
特に多くの方の目を惹きつけるのが「BOTANICAL DYE」(ボタニカルダイ)のコレクションです。ボタニカルダイとは、言葉の通り植物による染色。
アジサイやレモングラス、菩提樹やブルーベリーなど、花やハーブ、木々などの天然原料を使って「色」を創造するのです。
「えっ、植物から、こんな綺麗な色が!?」。お客様にボタニカルダイについて説明すると、ほとんどの方が驚かれます。
草花を使った染色というと、伝統的な「草木(くさき)染め」を思い浮かべるからでしょう。草木染めの落ち着いたアーシーな色味も魅力ですが、
私たちが求めるのは、ebureらしい品がよく、気持ちよさを感じられる美しい色彩です。
私たちが、ボタニカルダイにチャレンジしようと思ったのは、今から4年前でした。当時はコロナ禍により、世界は明日を見通せない状況にありました。
暗く重い空気が社会に立ち込めている中、私たちは自分たちの服づくりの原点を見つめ直しました。服を通して、多くの方を笑顔にできれば。
自然環境にもいい影響を与えることができれば。私たちができることは微力ですが、ebureらしく取り組んでみよう。ebureが服づくりでこだわるのは、
素材のクオリティ、そして生地の発色です。ですが、化学染色は、水資源の大量消費や人工物の排出など環境への負荷も少なくありません。
それなら、自然由来の天然原料で染色ができれば。一般的な草木染めは、糸染めや製品染めをすることで独特な色味が生まれますが、生地に縮みやシワができやすくなってしまいます。ですが、ebureが求めていたのはシャキッとした生地感。縫製の前に、生地を染色することがマストだったのです。

リサーチを重ねて理想とする染色に出合うことができたのが、ボタニカルダイでした。熱意ある研究者が長年にわたり開発してきた特別な染色技術です。
少量の化学物質は必要とするもののすべて天然素材、水の使用量も必要最小限。そして、何よりも色の美しさ。奥行きがある深みのあるやさしい色合いは唯一無二です。
シーズンを重ねるごとに、お客様の人気も高まり、今ではebureに欠かせないコレクションの一つに。
これまでに植物由来の化粧品原料の抽出後に出る残渣(ざんさ)を使用するなど、新しい試みにも取り組んできました。
ですが、私たちの頭の片隅にあったのが、この原料となる植物はどこからくるのか、ということでした。私たちが把握できるルートで原料を調達したいと考え、
そこで着目したのが「ロスフラワー」でした。いわゆる生花店などで売れ残ってしまい廃棄されてしまう草花です。ebureには長年、懇意にしていただいている
フラワーショップがあります。「フラワーノリタケ」は、ファッション業界でも多くのファンを持つ名古屋の人気のショップ。
ebureのストアの装飾や展示会でディスプレイをしていただいたりと、私たちと親和性が高いショップです。植物への愛情、センス、真摯な対応は並々ならないものがあります。
相談をしたところ、二つ返事で快諾していただけました。ロスフラワーに新たな命を吹き込むことに賛同していただけたのです。

いよいよ、この春、ロスフラワーから生まれたボタニカルダイのコレクションを、お客様へお届けすることができます。
Tシャツとワンピースを5色で展開。ebureらしいシンプルなデザインなので、定番のデニムやジャケットとの相性も抜群です。自分らしく心地いいスタイリングで、出かけてみては。花や木々の生命と美しさを身にまとうと、自然と前向きな気持ちになれることでしょう。

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